2012年09月19日

どん詰まりの糸

go for it ! ではカウンセリングをしてプレーヤーに最適の
ストリングをコーディネートしています。

その人のプレースタイルや使用フレームにおいて、目指す
打球感のなかでもっとも適しているストリングをチョイス。
次回張替時に「もっとこのフィーリングがほしい」感想を
聞いて、さらに突き詰めた張り方やストリングを探します。

そうしてたどり着いた完成形は、そのプレーヤーにしか
合わないほどまでとなり、無二の相棒になるわけです。

しかし、ストリングの種類には限りがあります。
「さらにもうちょっと」のリクエストに応えようにも、
張ってある以上のモデルが存在しないと限界となります。

それが「どん詰まりの糸」と呼ばれるもの。

たとえば「モノフィラメント系」で一番「打球感がしっかり」
していて「コントロール性良好」なモデルを探している場合、
ゴーセンのAK PRO 16をチョイスしました。
それ以上のものはちょっと見当たりません。
ポリエステルやハイブリッドでは打球感やスピン性能で
希望のフィーリングにはなりません。

そこからさらに上を目指しても適した製品がないのです。
ああメーカーがもうちょいシャープな改良品を出してくれれば。
いや、同じモデルでゲージをちょっとだけ細くしてくれれば。
1.31mmと1.22mmの間の1.28mmって出せるでしょ?ねぇねぇ…
などとグチっても、ないものはない。

残念なことにモノフィラメント市場は成熟の域に達していて
それ以上の性能の新製品は出そうにありません。
できるとしても「それ求める人多くないよね」と後回し。
さらにポリエステル市場に押されていて、ナイロンモノを
使用するプレーヤーが減少する傾向にあります。
数でない製品は廃番になるご時世。市場なきところに投入なし。
そのためにどん詰まりから脱却できる可能性は皆無。

メーカーが余裕持っていたバブルのころ、テニスがブームだった
ころ、ナイロン系ストリングが全盛だったころなら可能性も
あるでしょうが、いまではそれも叶わぬ夢なのです。

どん詰まりの糸をなくすには、張り替え需要を増やすか
単純にテニス人口を増やすかして、メーカーが元気になること。
そうすれば隙間の性能の糸も世の中に出現します。
う〜ん楽しくなります、マニアのわたくし(笑)。

ストリンガー澁谷はこの姿勢で仕事をしています。
posted by goforit at 21:05| Comment(0) | ◆ストリンギング

2012年09月17日

横糸切れるってヘン?

ストリングは縦糸で切れるもの。

これ常識だと思っていませんか。
「横糸切れたんですけど、ヘンですか?」と不安になっている
お客さんがたまにいます。

ヘンじゃないです。

マルチフィラメントでコーティングが薄いものや、本体が
柔らかく作られているモデルではよくあることです。
横糸はすでに張られている縦糸に編んでいきます。
そして引っ張ったときに縦糸にしごかれて扁平になりがち。
スピンをかけると縦糸がズレて横糸を痛めるのです。
扁平になりにくいモノフィラメントストリングでは
縦糸がズレると、横糸の接する部分の縦糸が削れてしまいます。

マルチフィラメントでは同じようにスピンをかけていても
縦が切れたり横が切れたりするケースがあるわけです。
20年くらい前からあった現象です。このころのマルチは
とても柔らかいモデルが多かったからですね。


ところが最近のポリエステルストリングでも横切れする
現象はちょっと原因が違います。
スイングが昔と変わってきたためなんです。


昔のスピンは下から持ち上げるトップスピン系。
主に縦糸で引っかけて回転をかけます。
ところが最近は高い打点でのレベルスイングでかけるドライブ系。
それも逆クロスに打ちこむスタイルが増えています。
こうするとグリップが先にでていくので、横糸でボールをコスる
ショットになり、横糸の負担が増えます。
そのために、縦糸に比べて横糸がすごく薄くなっていることが
あります。

自分の使っているラケットと友達のを比べてみましょう。
ストリング面を見るとプレースタイルで削れ方が違います。
posted by goforit at 20:54| Comment(0) | ◆ストリンギング

2012年06月06日

あなた専用の張りあがりご用意できます

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メーカーさんや同業者からよく聞かれること。
「どのストリングが売れていますか」
普通のお店なら答えられる質問ですが、当店では簡単ではない。

なぜならお客さんは、好みやプレースタイルがそれぞれですから。
基本的に同じものにならないと思うのです。
確かに売れ筋というものはあります。
割と万人受けする優等生的なモデル、世の中で売れていると
されているストリングがそれです。

それを売るのは簡単です。
しかし、本当にお客さんにそれが合うかどうかは別です。
とりあえずその優等生からスタートしても、突き詰めていくと、
微妙にズレているポイントがあちこち見つかります。

普通の店では選択股も少ないうえに、張り技術を追い込んで
いないのでストリングの微妙なニュアンスまで出ないことが多く、
「まぁ、こんなもんかな」で終わってしまいます。

惚れ込む無二のストリングに出会えていないでしょう。
本当に自分に合っている相棒は必ずあります。
細かい希望を実現すれば、売れ筋以外のストリングに行き着く
ことが当たり前。
それを一緒に見つけるのが当店の仕事です。

写真はある常連さんのもの。
カウンセリングを重ねた結果「手ごたえ情報がある」「ホールド
感が最優先」「フレームとの一体感」などの希望順位が判明。
それによってストリングとテンションと球飛びをセッティング。
えらく工夫されています。手間もかけて張っています。
張り方は往年のこだわり選手、イワンレンドルのスタイルを
参考に仕上げました。
しかし、特に値段が高くなっているわけではありません。

これはこのお客さん専用のセッティングです。
同じスタイルの人はいません。たぶん当店以外でも。
おそらく他人が使ってもそれほど使いやすくないでしょう。
でも、本人にとっては最高の道具。

あなたも自分専用のラケットを手に入れてみませんか。
じっくり相談すれば、こちらで工夫をして必ずご用意します。
posted by goforit at 22:14| Comment(3) | ◆ストリンギング

2012年04月20日

注目素材シリコン「ミラフィット・アクセル」

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近年、ストリングの表面を滑らせることにより得られる
メリットが多いことに着目した製品が発売されています。

ストリングの動きを阻害しないことにより、スピンをかけた
ときにボールを包むように回り込みます。
さらに滑りがよいので、摩擦によってできる溝(ノッチ)が
減って切れにくくなります。
ストリングのしなやかさが感じられて、乾燥する冬季でも
フィーリングの低下が少なくなります。

それを発揮する素材がシリコン。

使用されて多く流通しているのはバボラのストリング。
ブラストなどがシリコンコーティングされています。

それに先駆けて10年ほど前から発売されていた、自分で塗る
タイプのメンテナンスグッズが「ミラフィット・アクセル」。
広島のサンアイという会社が開発した商品です。
ここが「ストリングを滑らせる概念」の元祖ですね。

靴ワックスのようなもので、ヒットする部分にすすっと
うすく塗りこみます。仕上げに指で伸ばすとよいでしょう。
後塗りなので1時間ほど打つとはげ落ちて効果が落ちますが
特にナイロンのマルチフィラメントに大きな違いを発揮します。
どのストリングにも使用できます。

価格は1,500円。約70回分使用できます。

以前はお試し版の「ミラフィット・スター」という小分け製品が
あったのですが、残念ながら廃番になってしまいました。
今後は増量版がでる予定があるそうです。
posted by goforit at 23:14| Comment(2) | ◆ストリンギング

2012年04月16日

西武スポーツ時代のG.W.

かれこれ25年前。
まだ澁谷が駆け出しストリンガーとして西武スポーツ吉祥寺に
勤務していたころ。時代はバブル直前でテニスブームでした。
ラケットもそれほど安売りしないでもバンバン売れちょりました。

テニス部後輩を数名メーカー派遣バイトとして入れて、契約の
メーカーラケット売りまくれ〜と売り場に立たせておくと、
鬼のように売る。1日1万円のバイト給なのでノルマで必死です。
結果、おんなじラケットばかりが「張りあげ依頼」として澁谷の
張りブースに積み上がっていきます。

連休前には張り替えと購入分のラケットが山のようになります。
専任で張っている澁谷のキャパは1時間3本の仕上がり。
店舗の営業時間は決まっているので、その間に張れる本数は
およそ20本くらいがせいぜい。
1日のキャパを越えると仕上がり日がどんどん伸びていきます。
通常2〜3日後のお渡しで仕事していましたが、ピーク時には
1週間後になることも。それでもラケットは次々溜まっていく。
ホルダーラックに収納できなくなり、平置きになったラケットは
壁のようにそびえ、その間から顔をだすほどに。

毎年連休は訳わからなくなりながら仕事していました。
ほとんど分単位のスケジュール。20分計以内で仕上げるのが目標。
効率重視して同じフレームで同じ糸のものを連続で張り続けて
1時間4本ペースにあげながら、クオリティを落とさないように。
それでも30本は難しい。あと何本あるんだ?と確認する間に
増えていくラケット。ごはん食べるヒマなどないに等しい。
売り場で張っているとお客さんから呼ばれて仕事が進まないので
倉庫室に移動して作業したことも。




今ではその時のパニック寸前の状態にとどまりながら「正確に」
「迅速に」「丁寧な」作業をこなした経験が役に立っています。
そのときに足りなかった、究極にお客さん専用にまで詰めた
仕上がりのためのカウンセリングやフィッティングを、じっくり
やりたくて今のお店を運営しています。

1日の勤務時間が西武時代は7時間。いまは好きなだけやれます。
満足です。
posted by goforit at 21:52| Comment(0) | ◆ストリンギング

2012年02月01日

ゴーセンFGシリーズ

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扁平のストリングという新たなジャンルを開拓したゴーセンの
FGシリーズ。うすいきしめんのような断面です。

画像はこちら
http://blog.goforit-stringer.com/pages/user/search/?keyword=%83p%83%8F%81%5B%83%7D%83X%83%5E%81%5BII

扁平にすることによりストリングがボールに対して回り込み
包むようにホールドします。それによってスピンをかける効率が
向上します。

ここで大切なのは、ストリングが滑るように動かないと効果が
なくなるという事実。
「扁平の平たい面」同士が縦横接しないといけないのです。
基本的にはボールを打つフェイスで、ストリングがねじれて
いないことが大切というわけ。

これを管理するのはとても手間がかかりますが、この手間を
かけるとかけないでは大違い。
すご〜く打球感が変わってしまうことでしょう。
当店ではヒットする部分をきっちり管理して張りますが、
他店ではツイストしているのが普通。

縦糸は扁平面を横になるように通します。
横糸は扁平面を上に向くように通します。
そのときに縦糸も上を向いて、正面に太い面で揃えます。

他店で張ったお客さんにFGシリーズの感想を聞くと「それほど
よいと思わなかった」という人がほとんど。
それに対して当店できっちり張ってみたら「すごくよい!」と
反応が全く変わります。

ストリングの性能を100%出しきって提供するのがプロってもの。
ここにこだわっています(というか当たり前のことなんですが)。

ナイロン素材のモノフィラメント、海島型、ポリエステル素材の
3種類でそれぞれゲージが2つあります。計6種類全部在庫中!
posted by goforit at 21:03| Comment(1) | ◆ストリンギング

2012年01月17日

寒いとストリングが

かれこれ1カ月ほど雨が降っていない東京。
乾燥しまくっていますねぇ。
気温も10度以下があたりまえで、プレーしててもシンシンと
冷え込むと常連さんがグチっていました。

乾燥も低温もストリングのパフォーマンスを低下させます。

乾燥によってストリングの滑りが悪くなり、縦糸と横糸の
摩擦が増えて溝ができやすくなります。
いつもより切れやすくなり、変な所でも切れることがあります。

低温によってストリングの柔軟性が減って、ボールを包む
ための余裕がなくなります。
オフセンターでの打球感がいつもより固く感じて、のっかりが
少ないからガツン!というショックも大きい。
そのうえにボールが飛ばないのでかなりストレス感じます。

冬に備えて3〜5ポンドほどテンションを下げた人たちも
「今年は下げても飛ばない!」と困惑気味。
だからといってもっと下げると違和感が出てしまいます。

とにかくスイートエリアで捉えることと、無理やり飛ばそうと
せずコントロールショットの修行に転換するとか。
なるべく新しいボールを使ってプレーすることも有効でしょう。
posted by goforit at 18:36| Comment(0) | ◆ストリンギング

2011年12月23日

ストリングのゆるみとボール

張り替えのサイクルで、ゆるんだのがピンとこない人が多いと
思います。

それでは違うものに置き換えて実感できる例を挙げましょう。
それは普通に使われるプレッシャーボール。ノンプレではなく。

ニューボールを使うと「おおっ!よく飛ぶ〜」と感じますね。
でも、いつも練習で打っているボールはニューでないことも。
そのために試合でいきなりニューを使うと「か、硬い…」とか
「はずすとつらい」などとちょっと苦手だな〜と思うことも
あるでしょう。そんな人はセットボールのほうが馴染んでいて
「こっちのほうが打ちやすい〜」と選んでしまうのでは?

1、2試合使ったセットボールをさらに使用して数日経過すると
いよいよエアが抜けて、もっと柔らかくなります。
これでラリーをするとすごくミスが減ります。
それほど飛ばないからアウトしない。
打球感が柔らかく球離れが遅いのでコントロールしやすい。
スイートエリアを外してもつらくない。

実際、ジュニア用の練習ボールではエアが少なめのタイプが
あります。抜けたボールとはそのままこれと同じ。
ミスが少なくなるうえにスピードも遅めなので、受ける相手も
楽に返せます。いいことずくめじゃないですか。

ちょっとまてよ…。

それってエースが決まらないってことだよね?
ナイスショット打っても相手には効かないってことだよね?
あれっ?試合じゃむしろ不利ってことか…。


機会があれば「ニュー」と「セット」と「さらに抜けた」
ボールを同じ高さから落として弾みを比べてみてください。
明らかに跳ねる高さが違います。
つまりショットの勢いと比例するのです。

試合で勝つことを最優先している選手は可能な限りニューを
使います。その感覚を基準にショットを組み立てるのですから
当然なんです。セットボールでも不満がでます。

ストリングも同じです。
トーナメントプレイヤーは試合ごとに張り替えたラケットで
臨みます。1試合使ったラケットは翌日用に張り替えに出します。

勝つためにはボールもストリングも新品しか使わない。
一般プレーヤーにはそこまでできませんが、心意気だけは
理解してここぞというときには倣ってみるとよいでしょう。
posted by goforit at 20:40| Comment(2) | ◆ストリンギング

2011年12月21日

張り替えのサイクルは人それぞれ

当店のお客さんは張り具合にシビアな方が多いのですが
独特のサイクルで張り替える人もいます。

「これ張っておいて」と持ってきたときに「いつまでに?」と
聞くと「そのうち取りに来るから適当に」と答えます。
それじゃ困ると翌週くらいですか?とこちらで決めると
「まぁそうだね」といいながらずーっと取りに来ない。
そうして半年ほど経ってから「切れちゃったから、これまた
張っておいて」と別のラケットを持参して来店。
そして前回の張りあがり(未使用で半年経過〜)をピック
アップして帰ります。張りあがり日時?お任せです〜。
つまり。常にその人の張りあがったラケットが入れ替わりながら
ラケットホルダーに存在することになります。
こんな取引をすでに6年以上続けています。

あるときなぜ?と質問したら「緩んだ状態が馴染んでいて
好きだから」とのこと。ワインじゃないんだから熟成って…。

ストリングは張った後にゆるむものです。
張りあがりを100%とすれば、30%くらいは落ちる感じ。
テニスでは50ポンド前後で張ることが多いのですが、
張りあがった直後から面圧を測定してみると、1時間後には
2ポンドくらいは下がっています。翌日にはまた2ポンドダウン。

メーカーの測定では100日後に下がりきった「劣化の底」の
状態になるグラフが発表されています。
これが「ストリングは3か月経ったら張り替えましょう」の
根拠です。ただし鮮度がある状態は性能が高いが、それが
苦手な打球感だと言う人もいます。

スピードのあるショットでエースが取れる、するどいスピンが
かかるのは鮮度がある状態ですが、スピードよりものっかりを
重視する人は鮮度が落ちたくらいで「調子いい!」と感じる
ことがあるからです。
缶を開封したばかりのニューボールが苦手っていうのと同じ。

特に試合にでているわけじゃなく、友人とプレーするのが
楽しみなら馴染んだ状態のほうがフィットするのかも。
posted by goforit at 21:39| Comment(0) | ◆ストリンギング

2011年12月11日

ベストな張りは目標によって決まる

ストリングを張るときは澁谷が必ずカウンセリングします。
プレーヤーに合わせて仕上げるために、どのように方向性を
決めるかを探るためです。
そこで重要なポイントは「過去」「現在」「未来」のどこを
目指すのかを見極めることです。

「過去」とは以前に感じたお気に入りの状態を追い求めること。
昔のあのラケットがよかったとか、あのフィーリングを再現
できないかとか。追い求めることが楽しみだったりします。
旧式フレームのマニアにありがちなリクエストですね。
テニス歴が長く昔のフィーリングを知っている澁谷を始めとした
おっさんストリンガーなら「ああ、あの感じね」と理解も
できますが、キャリアが浅い人には「?」なことでしょう(笑)。

「現在」をテーマにするのはもっとも一般的です。
今のプレーをどのように維持するのか、今の状態の精度を
もっと高めるためにはどうすべきか。
一番使いやすい道具を手に入れるためにあれこれ検討します。
それにはストリングの選択と張り方の工夫だけではなく、
フレームのチューンやカスタム、最終的にはフレームを変える
アドバイスまで含まれるのです。

ジュニアやキャリアが浅いプレーヤーはこれから伸びていきます。
練習していれば翌日には進歩するくらいなら、次回張り替える
際にはすでにプレースタイルが変化していたり、ショットの
質が向上しています。
その「未来」を見越して張ってあげることが大切。
「目標を目指すならこれを使えるようにしてみよう」と先取りで
仕上げてあげるのが導く立場の役目。

「過去」「現在」「未来」のどこを目指すのか。
なんとなく張るのではなく、その目標に合わせた仕上げが
プレーヤーの今後を決めてしまいます。

張替の際にはこのテーマを明確にしておいでください。
もっとあなたに合った張りを提案できます。
posted by goforit at 20:41| Comment(1) | ◆ストリンギング